『稚姫物語』 ~散りて返り咲く木花姫
木の花散りて 再び咲いた 富士の御山の桜花
天斑駒(あめのふちこま) 自然の摂理 五行相生の真なる巡り
天斑駒逆剥ぎて 巡り乱れて逆流れ
巡りの乱れは摂理の乱れ 天の機織り乱れたり
機織りの舩で傷ついて 身罷り散った稚桜
瀬織津姫の死返し(まかるがえし)で 再び富士に咲いた桜花
木花咲耶と磐長の姫 二つで一つの桜花
誠を映す真経津の鏡 見る者違えば見え方違う
天(日)を映しだす磐長姫 地(月)を映しだす木花咲耶
天は常に美しけれども 乱れた地上は美しからず
我が身の醜さ見ぬために 伏せて隠した日の鏡
乱れたる地をそのままに 三千年の見ざる聞かざる
天に照らして地を比ぶれば 地の醜さは一目瞭然
ゆえに日鏡隠したり 目の毒ゆえに隠したり
毒を含んだ桜花の姫 磐長姫の日の鏡
毒は薬 薬は毒 誠無きゆえ毒の花となる
型(月)だけ美麗に整えた 箱庭の世は美しかれども
日鏡照らせば一目瞭然 誠無き世の醜き姿
伊勢の浜辺の二ツ岩 夫婦岩ならぬ鏡岩
瀬織津姫が掲げた鏡 日月の鏡 木花姫
散りて返り咲きた桜花 木花散りた稚桜姫
天地を映して結ぶ鏡と 返り咲きたる稚桜姫
未だ閉じたる天の岩戸の 中に隠された稚桜
日月揃わぬ片割れだけで 騙し通した三千年
誠の鏡は「悪」の中 八岐大蛇の肚の中
戸隠の岩の奥深く 隠され続けた三千年
天の斑駒 乱れた流れ 相生相克 相乗相嫌
八岐に分かれた大蛇となりた 五行摂理の乱れた流れ
乱れたままに「誠」を隠し 「鎮めたり」として岩戸を塞ぐ
日月の鏡を分離して 天地の結びを隠したり
岩戸閉めたる出来事を 岩戸開きと偽りて
戸隠の山の岩の奥 誠が眠る「悪」の肚の中
誠の花が開く時 天の岩戸が開かれる時
悪の華が咲き乱れ 毒の花が咲き乱れる
毒は薬 薬は毒 誠の花は薬か毒か
鏡に映りた姿を見れば 自ずとわかるものである
やがて世界に咲く「悪の華」 誠を映す鏡となりし・・・
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