『狐憑き』 《淺田友神帳》
稲荷神社がある地域で結構な割合で「狐憑き」の人を見かけている。
何なら「狐憑き」の人を見かけたので「近くに稲荷神社があるのか」と思うぐらいにわかりやすい独特な「霊懸かり」である。
狐は人を引っ張り動かす。
それは、「思考」の中に入り込んで「誘導」するもので、そのパターンのようなものがわかれば、自分を誘導する「狐」を審神者(サニワ)することが出来る。
そして、それが出来るようになると、彼らがしょっちゅう思考に働きかけてきていることがわかり、時には「うるさいなぁ」と思うほどで、だから「こっちへ」と呼んでいる彼らに対して「行かない」と断ってやることもある。
そうすると今度は駄々をこねるように「足」に絡みつき、進むのを妨害してきたりする。
初めての場所ではそこまでのことは無いが、よく行く場所があれば、その近くを通ると必ず引っ張られる。
そんな狐たちの霊に同調すると、人の霊もいる次元世界に足を踏み入れることになる。
今まで気付かなかった「地縛霊」などに気付いてしまい、そこで成仏するように祈りを捧げることとなる。
もしかすると、それも込みで狐たちは関わり、まとわりつき、引っ張って・・・というふうに同調してくるのかもしれない。
龍は狐のように人に接触するように関わることはあまりない。
それは、龍のエネルギーに人が耐えられないからである。
6年前に私のもとに現れた龍も、常に離れたところにいる。
6年間、初めて現われてこの身に重なった時は身体が勝手にくるくると回り、結びのための「龍神祝詞」を唱えて結びを完了するまでそれは止まらなかった。
あんなものが常に身近に居たら大変なことになる。
だが、狐ではそんなことは起こらない。
まとわりつかれて重くなったり、嚙みつかれて「痛い」となるくらいである。
昨今、住宅事情により神社のすぐ近くにまで家屋が立ち並んでいる。
住宅地近くに大そうな稲荷神社などがあれば、そこの周辺住人は少なからず「狐憑き」になる。
全員がなるわけではなく、当然のことながら「憑きやすい」人に憑く。
山に稲荷神社があるなら、その山は彼らを養う広い土地となるわけで、そこには多くの狐たちがいるはずだ。
だから、そこへ足しげく通う周辺に住む人が居るなら、必ずその人には狐がくっついている。
そして、くっついた人を早足にさせたりゆっくりさせたりと「コントロール」して人と人を鉢合わせるようにしたり・・・そんなことをしている。
憑かれている人は見わけが付きやすい。
それは挙動に現れているわけであるが、当の本人は全く気付かない。
だが挙動が「いつもとは違う」はずで、よく知っている人が見たら「なんとなくおかしな挙動しているな」と思う事だろう。
そんな稲荷にお参りに来る人がちゃんと居ればいいのだが、中には「忘れ去られた」ような稲荷の祠があったりする。
もし、そこに狐たちが未だいるなら「狐憑き」の様子は少し変わってくる。
狐たちの怒りや寂しさがそのまま人に伝播してしまい、人が凶暴になってしまったりする。
一時的ではあるが、普段取らないような過激な行動をしたり、怒鳴ったり喚いたりするほどになり、もしその時にその人が「恨み」のようなものを持っていたら、その感情と結びついてしまったりする。
実際、そういうところに近づくと、怒りや悲しみや寂しさの感情が伝わってくる。
そして「来るな」と言わんばかりに誰かに憑依したりして威嚇してくることもあるくらいである。
本当は来てほしいのだが・・・・
だから押し返そうとする彼らを無視して稲荷の祠まで行くと、寂びれて・・・朽ちて・・・忘れられたようになっている。
「穢れ」
それが充満しており、そんな「穢れ」に吸い寄せられた別の人の霊までが居たりする。
某山にある忘れ去られた稲荷の祠に呼ばれた?・・・というより「行かされた」時の話。
山に近づくとふもとの住宅街で犬の散歩をしていた人が居た。
「なんか憑いてるな・・・」
そう思いながらその人の横を通過しようとした刹那、その人が突然叫び出した。
『〇✕✕△!?△✕〇▢!!』
「・・・・・荒れてるなぁ」
憑いているものが荒れているなぁと思い、「そういえば確か忘れ去られたような稲荷が山のふもとにあったぞ。」と思い至った。
そしてそこへ向かう。
山に入って少し登ったところにそれはあった。
荒れて、朽ちて、どんよりとした重たく暗い空気に包まれている。
さらには「死霊のの臭い」まで漂ってくる。
さて、どうするか・・・・・・
すると
『私を呼べ』
すかさず声をかけてくれたのは「オカミ」と名付けた「四本尾の大狐」
京都の貴船に行った際、女神を背に乗せて「ドスン」と降りてくるように現れた大狐であり、あそこの「高龗(タカオカミ)神」にちなんで「龗(オカミ)」と名付けた。
ダキニ天でも現れたのかとびっくりしたが、あれ以来女神の方は見ていない。
大狐だけが貴船から着いてきた形になった。
実はこの「大狐」が私のもとに来る人を「品定め」して守ってくれていたりする。
私も知らなかったが、ある霊能者の方がうちに来られた際、前日の夜に大きな狐が現れて「私の顔に触れるぐらいに品定めするようにじっと見られて、しばらく観察した後去っていった。怖かった~」と言っていたので、「そんなことしていたのか」とそれでわかったことである。
で、その「オカミ」を呼ぶと、そこに居る狐たちを大人しくさせてくれた。
そうして「祓い浄め」と「成仏」と、気の浄化をするために「式神」ならぬ「式龍」を数体放って何日かかけて「気の浄化」がされるようにした。
まぁ一度や二度では綺麗にはならないだろうから、折を見てまた行かなければならないが。
そうして「場の浄化」をするとともに、何度か通って「狐たちの引っ越し」を手伝ってやらねばならない。
現状「忘れ去られて」いるのだから、この先も忘れられ続けるだろうから、ここに居れば再び荒れ狐となる。
だが、他のテリトリーへ移住するのは容易ではない。
それは人とて同じであり、だから簡単にはいかない。
だが、そんなときのため・・・ではないが、あっちこっち顔を売っているのが役に立つ。
それよりも、以前、大量に連れ帰った「飯綱」たちが未だどこにも連れて行けず、家の中を走り回っている。
そのせいか、部屋がやたら散らかり汚れる・・・・
散らかしているのは自分であるはずなのだが、だから「片付かない」と言った方がいいか。
気にしないようにしていれば気にはならないが、ひとたび気付くと「走り回り飛び回り」しているのが目に映る。
彼らは「蔭」を好む。
だから散らかる・・・
早く何とかしたいものだが、導きが来ないところを見ると、上でまだ調整が付かないのだろう。
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