『地祇(かみ)迎え』~再度山の玉姫 《淺田友神帳》
狐の導き
最近、再び神社に神様方が戻りはじめ、それと共に再び「浄化」のための参詣に駆り出されはじめた。
この三年というもの「地祇(くにつかみ)」の交代で著しく神々(祇々)の姿が減ったため、しばらく参詣することがなかったが、再び「呼ばれ始めた」わけである。
そうしてまずは近場の祇々のところから、呼ばれるままに走り回っている。
そんなある日
「水天宮」へと呼ばれた。
そこは、ここ三年の間、自分が閉じこもっていた「結界」の外側。
半径数キロ程度の「結界」の中にこの三年「巣ごもり」するように籠っていたのだが、そのギリギリ外側にあるのがその「水天宮」であった。
南の結界の境界は「高取山」
そのすこ~しだけ先にある「水天宮」である。
「まあ、そこまでなら・・・」
ということで、ここ三年間の移動手段である自転車を走らせて水天宮へ向かった。
水天宮に到着するが、「シーン」と静まり返っている。
「なぜここに呼んだ?」
そんな疑問を持ちながら参拝を終えて自転車へ向かうと
「ここまで来たら三宮の方へ行ってみるか・・・」
という気になり「生田神社」へ行くことにした。
そしてその時、思考に「生田神社へ行く」というものが混じりこんできたのがわかり、
「あぁ、はめられた。」
と悟った。
要は「結界の外」に連れ出されたわけである。
そして、一度出たら「さらに連れ出す」ほうへ誘導する。
「狐」の導き・・・というか「誘導」である。
「わかった。乗ってやろう。」
ということで自転車を走らせて生田神社へ向かった。
いつも騒々しい生田神社もその日は妙に静かであった。
いい意味で鎮(静)まっている。
本殿に参拝したのち、境内にある「稲荷社」へ向かったところ、ここも静まりかえっていた。
いつもは「狐憑き」された人が必ず居て、社のあたりで騒がしくしている。
これも彼ら(狐)のアピールであるが、この日は誰も居らず静かであった。
「あれ?ここじゃないのか?」
その後、生田の杜の「神功皇后」のところへ行くと、杜の中に流れる川の泉のようになっている水場の奥にある岩のところで、ふと女性の祇様?が姿をチラリと見せた。
だが見せただけで何も語らない。
たぶん「神功皇后」の祠を中心とする杜・・・を中心として周辺を管理している祇様だろう。
今までは居なかった女祇様である。
だいぶ日が落ち始めて暗くなりはじめた杜の中で、今度は別の神社の名前が浮かんできた。
「せっかくここまで来たから最後はそこへ向かって帰路につけば丁度いいか・・・」
そう言葉にしながら
「おまえか!」
と、結界からおびき出して引き回した「狐」の正体にようやく気付いた。
4年ほど前・・・・
ここの「狐」に連れられてふらっと立ち寄った神社であったが、ここに何度も足を運ばされて「浄化」を完了した場所である。
再度山の「龍の道」が塞がれて「龍のエネルギーだまり」となっていた場所・・・
実際は「神社」ではなくとなりの「公園」が道を塞ぐ「岩戸」となっていたわけであるが・・・・
それを開放するために何度か足を運ばされた。
その時の「狐」が神社の「玉姫」である。
その「玉姫」が再び呼び出して何をさせようと言うのか?
「とりあえず行ってみるか。ここまで来たし・・・・」
思うつぼに嵌められたが、それも必要な事なのだろうとあきらめて向かうことにした。
・・・・と、その前に、以前住んでいた神戸北野の異人館街へ立ち寄る。
夕暮れ時の人もまばらになった静かな異人館街の公園でコーヒーを飲みながら佇んでいて「ハッ」とした。
「あ、時間調整されている・・・」
またしても「やられた」と思いながら、異人館街を後にした。
そして・・・・
時間調整されたことで「日が落ちて」薄暗くなってきたこの場所は、やはり独特の雰囲気がある。
この山(神社)の上の再度山への道は「心霊スポット」でもある。
そんなエネルギーの「たまり場」なのである。
まず公園の「岩戸」となっていた場所へ行ってみるが、特に「淀み」は見られない。
以前はエネルギーの「淀み」が酷かった場所であるが、それらは全く感じられない。
そして、そこから「玉姫様」の祠に挨拶して神社内に入ったが、夕暮れ時のこの場所とは思えないほど鎮まっていた。
つまりは禍々しさや淀みは見られない。
「では何故呼んだ?」
そう思いながら本殿に参拝し、稲荷殿にも参拝したところ
『飯綱を・・・・・』
ようやく玉姫様の言葉が来た。
どうやら『飯綱たちの面倒を見てくれ』ということらしい。
「いや、どうやって?」
『・・・・・・・・』
答えんのかい!
・・・・・
参拝を終えとっぷりと日が暮れた境内を後にして自転車を走らせはじめる。
「背中が重い・・・・・(><)」
振り返ると・・・ぞろぞろと着いてきている飯綱たち・・・・
「マジか・・・」
再度山を登る道に入ったところで
「背中が重すぎる。降りてくれ。いやむしろ押してくれ。」
夜の真っ暗な山道を登り、一山超えて帰る道のりを想像するとため息が出る。
しかも心霊スポットである・・・・・・
登りはじめてしばらくしたところで、車にひかれて息絶えている「イタチ」を見つけた。
するとすかさずそのイタチが肩に乗って来た。
「重い・・・降りろ。」
スッと軽くなり後ろをぞろぞろと着いてくる飯綱たちに混じったようだ。
「これも込みでこの道を走らせたのか?」
相変わらずここの「玉姫狐」には脱帽させられる。
来た道・・・
水天宮方面経由で帰ればもっと楽に帰れるのだということをこの時ようやく思い至り、
「やられた」
と完全に脱帽してあきらめたわけである。
まぁ、理由が無ければあえて「結界の外」へ出ることも無かっただろう。
そして「巣ごもりの終わり」を告げるように導いたのであろう。
『再度山の玉姫狐』
私の『友神』の御一方である。
しかし・・・・・
この大量の飯綱たち・・・・・・
どうしようか・・・・(ー。ー;
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